マンションの購入を検討する際に、ついつい「立地」や「室内」「共用部分」を確認するのみで購入を決めてしまってはいませんか。実は、マンションを購入するうえでとても重要なのが「マンション管理」が適切に行われているかどうか。ここでは、マンション管理の状態が良好かどうかを見極めるポイントをお伝えしていきたいと思いますが、まずは一番大きなポイントである「マンションの修繕」についてお話ししたいと思います。
目次
ポイント1:購入前に長期修繕計画書を確認しよう
長期修繕計画書とは
マンション管理業務を管理会社に全部委託(もしくは一部委託)している場合には、管理会社が作成した「長期修繕計画書」が保管されていることがほとんどです。この長期修繕計画書は、管理会社の作成したものであれば、原則として25年間分が作成されています。長期修繕計画書とは、マンションという一棟の建物を長期にわたって計画的に修繕し、維持管理をしていくために欠かせないものです。将来に実施する予定の修繕の内容と、それにかかると予測される費用、そして、その費用をどう捻出するのか等が 細かく記載されていますので、そのマンションを購入するものであれば 当然事前に目を通しておきたい資料のひとつです。
今後の修繕計画がきちんと定められているかを確認
マンションによっては、長期修繕計画書は作成をしているものの、近い時期には行う予定がないために その先の予定もまったく未定であるという回答がかえってくるケースがあります。それだけならまだよいのですが、理事会や総会などでも特に修繕計画について討論がなされておらず、未来の問題が放置されていたり、適切な修繕が行われておらず補修すべき個所が修繕されていないケースもあります。組合は管理会社に任せきりにしているが、その管理会社も計画を作成したきり、まったく内容を精査していない…といった場合もまれにありますので、事前に管理会社や組合が 修繕計画についてどの程度の意識をもって管理しているのか、自分なりの視点で確認するようにしましょう。
ポイント2:マンション管理が「自主管理」の場合には修繕履歴に着目
自主管理の場合には、長期修繕計画書があるかを必ず確認
一部、自主管理(管理会社を通さず、管理組合自身で管理業務を行っている形態をいいます)という形態をとっているマンションを購入検討する場合には、この「長期修繕計画書」が 組合で作成されているかどうかを必ず確認するようにしましょう。自主管理でも、維持管理が適切に行われているマンションは多くありますが、一部では修繕計画がきちんと定められていないケースも見受けられます。
修繕履歴に着目、マンションの資産価値が保たれているかをチェック
自主管理の形態を採用しているマンションにおいては、築年数が古い建物であることが多く、すでに何らかの修繕を施工している場合がほとんどです。実際に現地に足を運んだり 長期修繕計画を確認することはもちろんですが、「今までの修繕履歴」も忘れずにチェックするようにしましょう。管理会社に委託をせずとも 適切な運営を行っているマンションかどうか、見極めることが大切です。
ポイント3:長期修繕計画から、修繕積立金をチェックする
マンションであれば、部屋ごとに「管理費」と「修繕積立金」が設定されており、毎月決まった金額を 管理組合へ支払うケースが大半であるかと思います。「修繕積立金」とは、管理規約に定められた修繕積立金制度にもとづいてマンションの修繕費として積み立てされているお金ですが、この「積立金」がすでにいくら積み立てられているかが大変重要なポイントです。
修繕一時金の発生と修繕積立金の値上げが起きる可能性があるか確認
もし、いま定められているマンションの長期修繕計画でかかるとされる費用に対して 積立金がマイナスとなる可能性が高ければ、その時点で 修繕にかかる費用を住民全体で負担する「修繕一時金」の発生や、現在の修繕積立金の値上げなどが起きる可能性が高くなります。
マンションを購入する前に、組合や管理会社に依頼して「長期修繕計画書」を確認させてもらうことがおすすめです。
組合で借入金があるかを確認
もし、修繕一時金の徴収が難しい場合や、修繕積立金の値上げをしても費用の捻出が追い付かない場合には、組合で金融機関から借入をしなければならず、その返済についても各部屋の住民で負担をしていくことになってしまいます。今現在のところ組合で借入金がある場合には、その返済計画についてどのように定められているかを必ず購入前に確認しておきましょう。
修繕計画作成時点で、段階的な積立金の値上げが定められている場合もある
特に、築浅マンションなどでは、積立開始の初期段階では修繕積立金が低めに設定されていて、年を追うごとに段階的に値上げをしていくプランを作成している場合があります。この場合には、修繕積立金の値上げは はじめから設定された計画通りのもので、修繕を行うには必ず必要な金額ということになりますので、あらかじめ どれくらいまでの値上げを予定しているのかを 長期修繕計画書で確認してから購入を検討するようにしましょう。
修繕計画作成時点で、一時金が定められている場合もあり
こちらは特にタワーマンションなどでよく見受けられるケースですが、長期修繕計画書を作成した時点で、10年に一度や数十年に一度のスパンで、各住戸から修繕一時金の徴収を行うプランを あらかじめ作成している場合もあります。タワーマンションなどでは、建物修繕には大きな費用がかかりやすく、修繕一時金の金額も 数十万円から数百万円単位にまで設定されていることがありますので、この点も必ず事前に 長期修繕計画で確認をするようにしましょう。
マンション管理で大切な「マンションの修繕」に関する3つのポイントのまとめ
購入した物件の資産性を保つためには、マンション管理を適切に運営していくことが不可欠です。その中でも、具体的な修繕計画が作成されている事が 特に大切なポイントになりますので、物件を探す際には ぜひ しっかりとチェックをするようにしてみてください。
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株式会社リファインド
宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー
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